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わけあり越前がにとは、10本の足が全て揃っていないかにのことで、足が1本欠けていたりするので「わけあり」というわけです。当然足が欠けていても、品質・味に影響はありません。なぜ足が欠けるのかというと、底引き網であげる時に足が取れたり、成長の過程で足を無くすからで、水深200m〜400mに住む天然ものならよくあることです。地元では足のとれたかにのことを「テンボ」といい、1本足が無いと「1天(イッテン)」などと呼ばれます。 |
わけあり越前がにの場合は、足が1本無いかに(1天)、2本無いかに(2天)と分けてセリにかけられます。そのため、セリの価格帯も足の揃った越前がに→わけあり(1天)→わけあり(2天)の順に安くなり、同じ大きさでも足の数によって値段は全然違います。大体1天で2,000〜5,000円くらい違うでしょうか。特に足のすべて揃った越前がには高価なので、少し値段の落ちる1天は料理屋や民宿でよく使われるのです。民宿あらやにお食事で来たお客様が、「わけありがあることを知らなくて、かっこいいお店で足の揃った越前がにを食べたら、飛び上がるほど支払わされた」とおっしゃっていました。 |
「越前がに倶楽部」を運営している民宿あらやでも、お食事に1天をおすすめしています。それは同じ10,000円のかにでも、「わけあり」なら足が1本欠けていても、「足揃い」よりひとまわり大きい越前がにを食べていただけるからです。 かには、大きくて、活目(=生きている状態の重さ)のあるものは、身詰まりがよくないかにみその味も深いです。値段も足が1本無いだけで2,000〜5,000円も違うなら、「わけあり」のほうがお得で経済的です。なので、お客様には「ご接待」ではなく、身内のお食事なら「わけあり」にして大きいかにを食べた方が、小さい足揃いのかにを1パイずつ食べるより、ずっとお得でおいしいですよ!とおすすめするのです。 |
お歳暮・お祝いなど失礼のあってはならない場合には「足揃い」か、「小足折れ」(人の小指の部分に当たる、最も小さい足が欠けている越前がに)をおすすめしています。 ご友人やご実家に贈られるなら、「わけあり」で充分です。なんと言っても「越前がに」、わけありとは言え足が1本欠けているだけで味や品質は変わりません。それに三国港産のタグ(産地証明の標識)が越前がににはついています。越前がにの味をご存知の方も多く、高価であることも有名ですから必ず贈られた方に喜ばれます。 |
越前がにの甲羅に黒いぶつぶつがくっついているのをみたことはありませんか?「越前がに」や「松葉がに」など日本海側で生息しているずわいがにには、写真のような生物が甲羅にくっついています。北海道や輸入の冷凍物にはみられないため「越前がに」の目利きの一つになっています。 この生物は俗名「カニヒル」(学名:Carcinobdella kanibir、シーライスと呼ばれる海蛭の成虫で体長15cmくらいまで大きくなる)といってずわいがにの甲羅を利用して繁殖する生物です。底引き網でかにをあげてくる時にもそのままかにの甲羅にくっついてくるので、あらやのいけすにも入っていきます。黒いぶつぶつはこの生物の卵なのです。 かにの甲羅を繁殖に利用するだけで、サバなどの体内に入る寄生虫とは全く違い、かにの体内に入ることはありません。もちろんいけすに越前がにを入れる段階で取り除きますし、ゆがく際に黒いぶつぶつも甲羅からほとんど落ちてしまいます。ゆでた越前がにの身の中に入ることはありませんのでご安心ください。 それどころか地元では「黒いぶつぶつがたくさんあるほどよく成長しいている証拠」として多く付いていることがおいしいかにの目安になっています。このわけは、ずわいがには成長するのに脱皮を繰り返して大きくなるため、脱皮したてのかには甲羅もやわらかく身詰まりも悪い。かにみそもまずい。しかし、黒いぶつぶつがびっしり甲羅にくっついている越前がには、脱皮してから充分成長していると考えられます。身詰まりもよく、かにみそもうまいに違いない、とこういうわけです。目利きの一つとして知っておくのもおもしろいですね。 |